2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

一億総罪人社会

数年前に、東京都知事である舛添要一氏が税金無駄遣いでいろいろと批判されていたのを覚えてますでしょうか。あの時ずっと不思議だったのは、みんな舛添氏を批判する資格があるのかなあということです。桁違いとか規模が異なるという指摘はさておいて、節税…

発信力 or 受信力?

先日、テレビで中国風ハンバーガーを売りにした秋葉原のお店を紹介していました。そこの日本人の店主いわく「是非とも日本の皆様にこれを知っていただきたいと思い秋葉原に出店しました。秋葉原は発信力があるので、ここに出店すれば噂がすぐに広まると思っ…

世の中に「主張」というものは存在しません

議論や討論や報告会や発表会での風景。まずAさんの主張があります。その後にBさんの反論があります。そのBさんの反論に対してAさんの反論があり、後はAさんとBさんの反論合戦が延々と続きます。主張があって、その上で反論がある。おそらく多くの人が…

言葉の魔術師ルター

翻訳という作業には困難が伴う。原典に忠実に直訳すると分かりづらいものとなり、分かりやすさを優先して意訳すると原典がもつ意味からかけ離れてしまう。古今東西で様々な翻訳作業が行われ、翻訳の果たしてきた役割は測り知れない。直訳であれ意訳であれ、…

帰郷者にとっての準拠集団の変容

長旅から帰宅すると変な違和感を感じることがある。旅に出かける前には気づかなかった当たり前なことが気になったり、地元地域が以前とは異なった景色に見えたりする。ところが帰宅してしばらくするとその違和感が徐々に薄れ、以前と同じような日常に戻り、…

持続可能な開発教育の持続可能性を考える

環境と開発の対立を解消するために提起された持続可能な開発という昨今の状況下において、中国の環境教育がそれとどのように向き合っているかを検討してみた。経済開発と譲歩しながら環境問題に取り組んで行くためには、国連や各国家のマクロ的な取り組みと…

中国における環境教育の持続可能性について

近年、環境教育は世界中の国々の教育システムで大きな注目を集めている。ますます深刻化する環境状況に直面して、環境教育は一般的に根本原因から環境問題を改善し、生態学と社会の持続可能な開発を確実にするための最良の方法であると考えられている。現在…

文化は進化しない

われわれは、これまで多くのお菓子や飲料が「モンドセレクション金賞受賞」したのを見てきたと思います。あれは言ってみれば「ミシュラン」のお菓子版ということなのでしょうか。モンドセレクションは「92か国から寄せられた商品に対して評価」を下している…

無知のベール

経営者と労働者、喫煙者と禁煙者、死刑賛成論者と死刑反対論者、自由貿易主義者と保護貿易主義者、既婚者と未婚者、黒人と白人、男と女。世の中はいろいろな二項対立によって成り立ってます。垣根を越えた相互理解を理想とする人たちもいる一方で、自分の置…

哀愁と歓喜と狂喜

サルサという音楽ジャンルを聞いたことあるでしょうか。プエルトリコ出身の人たちが集まるニューヨークのとある地域で生まれた音楽ですが、それが少しずつスペイン語圏の中南米に広まったものです。よく中南米を旅したときに耳にしたのがサルサでした。 ボク…

駅弁とモンドセレクション

子供の頃のおやつとしてボクもお世話になったギンビスの『たべっ子どうぶつビスケット』があったので、手に取って最近はどうなってるのかなと確かめていたところ、パッケージに「モンドセレクション金賞受賞」なる文字が目に入りました。製造者側とすれば「…

駅弁と旅情

「駅弁する」ということについて直前の記事で述べさせていただきましたが、その骨子は、駅弁を食べる行為をも含めたものとして「駅弁」と解する、というものでした。これについては様々な反論があることでしょう。例えば、列車内で食べることに意味を見出す…

「駅弁する」ということ

最近は列車内で駅弁を食べる光景を見ることが少なくなりましたね。駅弁の絶滅を危惧する声もあろうかと思います。こんなことを書くと、列車内で食べる光景が少なくなっただけで、駅弁そのものは健在だとの反論もあろうかと思います。しかしそのような主張は…

イエスの奇跡

ボクは聖書を読んだことがあります。信者かって? いや違います。英語の勉強のために高校の時に読みました。いろんなバージョンがあるのですが、『Good News Bible』という標準的英語で書かれたバージョンで、一番読みやすかったので英語の勉強になりました…

保護に値するものとは

世の中には保護しなければならない人やものがたくさんあります。まずは子供ですね。そして大人も保護に値する場合があります。ボクの父は要介護5の認知症患者で、母は80歳、兄は知的障害者なんですが、彼らだけで生活するのは困難なのでボクも一緒に生活して…

憲法違反の憲法

憲法は英語で「constitution」と言います。「constitution」には他に「構成、構造、気質、体質」という意味があります。不思議ですよね。なぜ「構成」と「憲法」が同じ「constitution」なのか。これには理由があるんです。その前に、まず憲法とは何かについ…

復讐するは我にあり

死刑制度の賛否をめぐっては様々な意見があるようです。現在世界で死刑制度を採用している国は意外と少なく50数カ国です。長年にわたって死刑執行していない国を含めるとヨーロッパの大多数が死刑制度廃止の方向です。アメリカの一部の州でも死刑制度廃止に…

健康は目的か手段か

最近の若い人たちの動向を見ているとやたらと健康志向が強いことに気づかされます。若者と言えばかつてはファッションばかり追いかけて健康には疎いのかなという時代もあったと思います。でも今は違いますね。ファッションを追求しつつ健康にも気を使う、ま…

法社会学の出番無し

憲法改正なんてトンデモナイと考える人が結構多いみたいですね。簡単には変えられないことから日本国憲法を「硬性憲法」と言ったりします。しかし、ホントに硬性憲法なのでしょうか。第96条をご覧になってください。 第96条:この憲法の改正は、各議院の総議…

持続可能な寿司

その昔、開発が活発になったことで環境論者から激しい批判が起こりました。「環境を守るために開発をやめろ!」というやつです。でも「環境を守れ」と言うのは、開発を積極的に進めてきて環境がヤバいことになっていることに気づいた先進国側の人々なんです…

儀礼ではない無関心

街を歩いているとよく「見て見ぬ振り」に出会します。レストランや電車内といった公共的な場所でのいざこざ、よく見かけると思います。中には善玉と悪玉が明確になっているケースもあります。そんなとき、わたしたちはどうすべきなのでしょうか。 確かに何す…

儀礼的無関心

ゴフマンの「儀礼的無関心」についてはその訳語に問題あると考える研究者が多いです。「儀礼的無関心」ではなく「市民的無関心」とか「世間的無関心」という訳を提唱している方々もいるようですが、ちょっと皆さん勘違いなさっているのではないかというのが…

セレンディピティ

キオ・スタークという人類学者(かな?)の『知らない人に出会う』という本があります。ちょっと一部を抜粋しますね。 公共の場で見知らぬ人同士が一定の距離まで近づくと、2人は互いをちらりと見て、さらに近くまで来ると目をそらして相手をやり過ごす。この…

過大評価=過小評価

日本は「恥」の文化だと言われます。それゆえに「罪」の文化である西洋およびキリスト教を理解するのに苦しみます。そして「罪」それ自体に対する解釈もキリスト教とは異なるようです。日本人にとって恥とは他者であるところの「人間」に対して想定されるも…

自己決定権は権利か義務か

先日、最寄り駅の階段から転げ落ちた婆さんを救助したときのことですが、婆さんは頭から血をタラタラと流しながらも「大丈夫です大丈夫です」と訴えていました。周囲に人が大勢集まったからでしょうか、人様に迷惑を掛けてはいけないと感じたのでしょう。立…

表現の自由はどこまで許されるのでしょうか

千住博という芸術専門家が「芸術とは何かを考えることは、私たちの社会とは何かを考えること」と言ってます。いろんな芸術がある分、いろんな社会があるのかなと。人は頭の中でいろんなことを考えています。それを言葉にするか、絵で表現するか、彫刻で表現…

研究者の神話

アフリカの貧しい国の人々のためにわれわれに何ができるのでしょうか。アフリカに限らずアジアにも、そして日本にも貧しい人々が存在します。そこには必ず彼ら貧しい人々を搾取する人々がいます。彼らは儲けます。彼らは貧困の存在を享受するのです。そのよ…

お○○こ再考

The boy playing the guitar over there is my brother. 英文法を教える機会がありますが、「分詞」の章にくるとボクを悩ます文章があります。上記文章を訳すと「あそこでギターを弾いている少年はボクの弟です」となります。こんな文章をいったいどこで使う…

シンガポールの「文化」

シンガポールは父の仕事の手伝いで初めて行って以来何度か訪れたことがあるのですが、いまだによくわからない国です。岩崎育夫著『物語シンガポールの歴史』を読んで腑に落ちた点があるので幾つか。 シンガポールの歴史を見ていると、何か違和感を感じざるを…

君の膵臓をもらいたい

「術中覚醒」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 読んで字のごとく「手術中に意識が回復すること」です。全身麻酔していても時々起こるらしいです。麻酔によって意識はなくなりますが、麻酔が効かなければ意識が回復します。意識が回復するから「痛い…