わたしたちは普段の生活において毎日のように事実認定を余儀なくされます。ある報道が事実であるかフェイクニュースであるか、あるいはもっと身近なケースとしては配偶者や恋人の浮気や二股の事実認定というのがあります。わたしたちは事実を知ることに躍起…
日常生活において見知らぬ他人はすっかり当たり前の光景となりました。かつての近代以前は道行く誰もが顔見知りで、今でも辺鄙な村や過疎地においてはそのような閉じた社会が普通に存在していますが、それ以外とりわけ都市においては道行く人々は見知らぬ他…
学会や研究会などで他の研究者と交流する機会があって、まず最初に互いに何を研究しているのかが気になります。そこで「何やってるんですか?」と尋ねると「ジェンダーやってます」とか「都市社会学やってます」とか「障害者問題やってます」という回答があ…
SNSなどの書き込みを見ていると「それは感情論でしょ」とか「まあまあ、感情的になるなよ」といった場面に出会します。論理的と理論的を混同している人がいますが、今回は「感情論」と「感情的」の混同を紐解きましょう。 「感情論」とは「理知的でなく、感…
先日22日の「アースデー」は地球にとっても人類にとっても特別な日となりました。参加者が例年通りの熱意を持ってイベントに集中することができなかったからです。すっかりお馴染みになったスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ氏もオンラインイベント…
コロナウィルスの出現によって「社会的距離」という文化は一気にグローバルなものとなりました。社会的距離の本来の意味が人と人との間を2メートル間隔置くということのみならず、何よりもまず人との社会空間の共有すなわち外出を自粛することも含んでいるこ…
新型コロナウィルス感染予防の策としてすっかり定着した「社会的距離=ソーシャル・ディスタンシング」ですが、海外では2003年あたりから挨拶の仕方をめぐってすでに議論が始まっていました。さかのぼること14世紀イギリスでは当時流行した伝染病を避けるため…
前回の記事で、「社会的距離」ではなく「物理的距離」だとあちこちで議論されていることについて述べました。その後、いろいろと疑問に感じたことがあって調べてみたので、今回はそのことについて触れておきます。感染予防のために「物理的距離」をとらなけ…
新型コロナウィルスの襲来以降すっかり定着したのが「社会的距離」という言葉です。距離を表すディスタンス(distance)がディスタンシング(distancing)と動名詞になっていることから、正確には「社会的距離化」とでもいうのでしょうか。「社会距離戦略」…
こんな御時世だからでしょうか、「このまま人類は滅亡してしまうのでしょうか?」という質問をされることがあります。思い返せば、人類消滅とか地球滅亡というシナリオを描いた小説や映画は数多いです。フィクションならではのストーリーですが、第3次世界大…
感染防止のために他人との接触率を減少させるのに、政府が80%という数値を提示しました。この数字を耳にして何を思うかは人それぞれでしょう。すぐに何かをピンと察することのできる人もいれば、イマイチ何のことだかよく分からずポカーンとしてしまう人も…
緊急事態宣言に当たって人との接触を80%減らす取り組みについては批判もある。97%いや98%減らさねばならないと主張する識者もいる。こういった数字はおそらく科学的なシミュレーションに基づいたものなのでしょう。80%にしろ98%にしろ、そういった数字…
新型コロナウィルスの感染拡大対策として安倍首相が緊急事態宣言を発令しました。この宣言が発令された諸外国の様子を映像で見る限り、ゴーストタウン化した街並みが目に焼き付いていることでしょう。でも日本ではこのような光景を目にすることはありません…
海外は危険で日本は危険ではないとは言い切れない。海外にも安全な地域がありますし、日本にいても危険な目に遭うことがあり、毎日のように殺人事件は起きています。次に、アメリカは危険でアメリカ以外の例えばカナダ等は危険ではないとは言い切れない。ア…
いったいいつからグローバル社会と言われるようになったのでしょうか。若い人の中にはすでに生まれた時からグローバル社会だったというグローバルネイティブも多いです。ボクなりに振り返ってみると、グローバルという言葉はさておき、概念としてのグローバ…
29日に新型コロナウイルスによる肺炎のため亡くなった志村けん氏のニュースが列島を悲しみに包みました。このニュースを受けて、翌30日に小池百合子東京都知事は「最後に悲しみとコロナウイルスの危険性について、しっかりメッセージを皆さんに届けてくださ…
自粛要請をめぐるやり取りが難航する昨今ですが、このような自粛要請は昭和天皇崩御のときにもありました。当時は街中が自粛ムード一色でした。阪神淡路大震災と東日本大震災のときは政府の働きかけがなくても自然と自粛ムードが日本中に広がりました。でも…
新型コロナウイルスの感染急増を懸念して都道府県の各自治体が市民に対して不要不急の外出を自粛するよう要請しています。もうすっかり定着した「要請」という言葉。検査結果の「陽性」という言葉と並んで聴覚的に敏感に反応することとなった「ヨウセイ」で…
第1節:マージナル・マン理論の展開 (1) ジンメルのストレンジャー (2) パークのマージナル・マン (3) ストーンクウィストのマージナル・マン (4) その後の展開 (5) 三つの論点 第1節:マージナル・マン理論の展開 1928年の論文「人間移動とマージナル・マ…
ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』は多くの読者を魅了してきました。物語であると同時に詩的に完成された作品ですが、その解釈をめぐって様々な意見があることで知られるもののうちの1つが「葡萄酒色の海」という描写です。 眼光輝くアテネは一行のために…
2017年10月27日のワールドシリーズ第3戦でカブスのダルビッシュ投手からホームランを放ったアストロズのグリエル選手がベンチで両目を指でつり上げるポーズをして差別表現だとして非難されました。その後、グリエル選手は謝罪したものの5試合出場停止処分を…
天気予報は当たることもあれば外れることもあります。朝の天気予報を信じて傘を持たずに出かけて後で悔しい思いをしたことありませんか。当たるも八卦当たらぬも八卦と自分に言い聞かせるという意味において、天気予報は占いのようなものです。しかし、わた…
憲法第23条は「学問の自由は、これを保障する」と規定しています。では「学問の自由」というときの「学問」とは何なのでしょうか。これを考える前に、まずは大学教員(これには教授や准教授と同様に講師も含まれる)と小中高教員の違いを明らかにしておきま…
「最近の大学生は勉強しない」とか「学生ではなく生徒だ」という理由をもって「大学の専門学校化」を主張する論文等を多く見かけるようになりました。確かに大学生の質は大問題です。しかし大学の質の低下を学生だけのせいにして、それを論文に仕上げて研究…
「時間は全ての人間に平等に与えられている」という名言がありますが、これに異議を唱える人たちもいます。例えば、寿命が40歳の人と80歳の人では与えられている時間は倍も異なるわけだから、時間は平等に与えられていないではないかと。しかし「時間は全て…
数年前のワイドショーにて、和歌山カレー事件裁判の被告である林眞須美死刑囚に対する有罪無罪をめぐる議論の中で、コメンテーターの1人である弁護士の大澤孝征氏が「証人による証言は客観的証拠ですから」と述べていました。1人の証人では有効ではないかも…
尊厳死は殺人であり自殺です なんだか尊厳死に対して批判的なことばかり述べているように思われるかもしれませんが、正直申しましてボクは尊厳死に対して全く批判的ではないし、個人の選択肢として人が納得されるのであれば、それは大いに結構なことだと思い…
なぜ尊厳死という言葉を使うのでしょうか? 脳死というのは、脳によって人間の死を判断することです。脳がダメになったら全部ダメなのです。脳が全ての基盤なのです。こういうのを唯脳論というのでしょうか。クジラやイルカを殺してはいけない理由は彼らが知…
鉱物採掘やダム建設といった人間活動が原因となって起こる地震があると『アメリカ地震学会』が報告しています。言い換えれば人為的な地震があるということです。でも全ての地震が人為的というわけではありません。コロナウィルスが武漢のウィルス研究所で兵…
なぜ尊厳死なのでしょうか? 尊厳のある生とはいったいどういうことなのでしょうか。そしてそのような生はパスタのような管でつながれた瞬間から失われてしまう程度の生なのでしょうか。よく「周りに迷惑を掛けたくないから」というのが尊厳死を選択する理由…