モナリザもモーツァルトも環境問題である

環境問題について考えた結果、わたしたちはとても大切なことに気づいてしまいました。それは、環境問題というときの「環境」とは何であるかという問いです。先の記事ですでに述べたように、国連や環境省は「環境」の定義を明らかにしていません。あまりにも…

地震は環境問題か否かという問い

高校の地理教科書を見ると、環境問題と比べて具体的で他人事ではなく身近な問題として認識されているようです。世界的にも有名な日本の自然災害である「地震」や「津波」についての詳細な記述が多いのが特徴です。地震のしくみと津波のしくみに関して1ページ…

地球の問題は日本の問題ではないのか

「現代社会」では、そこで扱われた環境問題が自分の身近な問題でなく「世界の問題」であり、具体的な危機感を認識することが困難で、そのために環境問題に対してどのように対応すべきかに関する提言のようなものはあまり見られませんが、この点については「…

「尊厳」について考えてみました②

何が「尊厳」なんですか? 尊厳死が「尊厳を伴う死」であるのに対して、そうでないものを「尊厳を伴わない死」言い換えれば「みっともない死」であることを確認しました。そしてここで安楽死が安楽な状態へ向けた「苦しみからの解放」であるのに対して、尊厳…

環境問題は教科書でどのように位置づけられているか

環境問題について調べているうちに、いろいろなことが分かってきました。正確には、わたしたちが環境問題にどう向き合っているかの一端をここで紹介できたらと思います。環境問題に関する日本語書籍は非常に多く、書店等を見ると絵本を含む入門的な本から専…

「尊厳」について考えてみました①

「尊厳死」って何ですか? 「尊厳をもって」とか「敬意を表する」という表現が何気なく使用されますが、そもそも「尊厳」とか「敬意」とは何でしょうか。話の取っ掛かりとしてまずは「尊厳死」と「安楽死」について考えてみましょう。 そもそも尊厳死と安楽…

可能性ゼロの世界

最近は「死刑」を覚悟で人を殺すケースが多いですね。相模原事件にしても京都アニメ事件にしても、容疑者または被告は「死刑」を怖れていないようですよね。そんな人たちを「死刑」で罰することに意味があるのでしょうか。無いですよね。そろそろ日本も「終…

単一民族国家じゃなかったの?

「単一民族」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。日本はずっと「単一民族」の国家であるとされてきました。でもよく考えるとアイヌ民族もいるし琉球民族もいるし、在日朝鮮人の方々もいるし、いろいろな外国出身の方々がいるわけで。で、実は「単一民…

「芸」と「術」と「道」の交錯

アメリカの大学に籍を置いていた頃、「martial arts」という科目があったのに驚きました。「武芸」と「武術」と訳されますが、もう1つ大切な訳語があります。「武道」です。話を分かりやすくするために「武術」と「武道」の違いから始めましょう。以下。 ま…

芸術的な自然の不自然さ

先日、教え子に「文明って何ですか?」と質問されました。授業で「自然と文明についてまとめなさい」という課題を出されたとのこと。ボクなりに答えてみました。以下。 文明との対置を考えるのであれば、自然とは、形の有る無しにかかわらず、ただ「あるがま…

エコなゴミ

以前パプアニューギニアに行ったときのことです。まだ20代でした。セピック川というのがあって、その川沿いの辺鄙な村で1週間自給自足生活を体験したことがあります。電気もガスも水道もありません。当時のボクは自給自足の術を知らないから、あらかじめ持参…

『第1章:マージナル・マンからグローバリゼーションへ②』(ワニ先生の修士論文)

第2節:グローバリゼーションとマージナリゼーション (1) マージナル・マンとグローバリゼーション (2) マージナルからマージナリゼーションへ 第2節:グローバリゼーションとマージナリゼーション マージナル・マン理論は、1920年代の制限立法以降、移民…

『マージナリゼーションとしてのグローバリゼーション:引用参考文献』(ワニ先生の修士論文)

Antonovsky, Aaron (1956) "Toward a Refinement of the Marginal Man concept,"SF 35. Appadurai, Arjun (1990) "Disjuncture and Difference in the Global Cultural Economy," in M. Featherstone (ed.), Global Culture: Nationalism, Globalization and…

『マージナリゼーションとしてのグローバリゼーション:章立て』(ワニ先生の修士論文)

序章 第1章:マージナル・マンからグローバリゼーションへ 第1節:マージナル・マン理論の展開 (1)ジンメルのストレンジャー (2)パークのマージナル・マン (3)ストーンクウィストのマージナル・マン (4)その後の展開 (5)三つの論点 第2節…

『マージナリゼーションとしてのグローバリゼーション:序章』(ワニ先生の修士論文)

エアポートの出国審査カウンター。ここで出国スタンプを押された瞬間から、次の入国審査を受けるまで、われわれは何処にも存在しないことになる。まさに、「In-Between」あるいは「マージナル」な状態である。自分を証明する唯一の手段がパスポートとなる。…

中国の高校教科書にみられる環境問題

以下は、中国の高校で使われている『地理』の教科書から、環境問題に関わる部分を抜き出し、検討したものである。『地理』はすべての学年で必修であり、1年生用、2年生用、3年生用の教科書があり、5〜6つの章がある。そのうちの一部が環境問題に関係し…

嗅覚の世界

とにかく嗅覚がスゴいということが分かりました。そこで、こんなにスゴい感覚をわれわれの身体は備えているのにもかかわらず、われわれはこれを活かし切っているのだろうかといろいろと調べてみたら、やはり世界は広かった。アメリカにとんでもないスーパー…

嗅覚の復権

昨日と今日で引越業者数社が引越料金見積訪問のために我が家にやって来ました。数名が家に出入りするたびに業者さんの「におい」が気になりました。クサいとかそういうことではなく、みんなそれぞれに「におい」が異なるので面白いなあと思っただけです。そ…

「反知性・主義」vs「反・知性主義」

「反知性主義」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。一般に日本では「知性」に対する反発や抵抗ととらえられています。勉強なんかできなくても体力が抜群だから良いんだよとか、頭の良いヤツよりも体が動くヤツの方が使いものになるよといったセリフの…

なぜ車内通話はいけないのか

「優先席付近では携帯電話の電源をお切りください。それ以外の場所ではマナーモードに設定のうえ、通話はご遠慮ください」 かつては日常的な音の「風景」となっていたセリフです。最近はあまり気にも留めない人が多いと思いますが、まだまだ健在です。このセ…

旅人マックス・ウェーバーと音楽社会学へのプロセス

本稿は、西欧独自の合理化論が展開されるマックス・ウェーバーの「音楽社会学」におけるこれまでの議論を踏まえた上で、「合理化」と対置される「非合理化」のありようを「リズム」の見地から考察することを試みる。その際、リズムをタクトから峻別するL.…

「ルート」からとらえた「ルーツ」のありかた/旅人のリズミクスを考察する試み

本稿の目的は、旅の途上にある文化的なるものを分析するための一つのアプローチとして、旅人らが奏でるリズムや旋律という視点に着目し、それを体現するための試みとして、トランジットを結合する「筋」を生み出す移動のあり方を考察することである。旅、ト…

サルサは「リズム」ではない

サルサとはいったい何なのか、それを説明するのはとても難しい。フランス人ならこう言うだろう。“Ça se sent, ça ne s'explique”.....つまり、自分で感じなければ分からない、ということだ.....サルサは「リズム」ではない。「コンセプト」なのだ。 by Willi…

100%濃縮還元ジャズ

ボクはフロリダに住んでいた頃は毎日のようにしぼりたてのオレンジジュースやグレープフルーツジュースを飲んでました。とても美味しかったです。その美味しさが当たり前になってました。帰国して100%オレンジジュースを飲んだときのショックは今でも記憶に…

時間に迷っております

われわれは今を生きています。今のことを「現代」と言います。われわれは「現代社会」で暮らしています。「現代」よりも前の時代区分を「近代」と言います。「現代」に近い時代区分という意味です。「近代」よりも前の時代区分を「近世」と言います。「近世…

一億総罪人社会

数年前に、東京都知事である舛添要一氏が税金無駄遣いでいろいろと批判されていたのを覚えてますでしょうか。あの時ずっと不思議だったのは、みんな舛添氏を批判する資格があるのかなあということです。桁違いとか規模が異なるという指摘はさておいて、節税…

発信力 or 受信力?

先日、テレビで中国風ハンバーガーを売りにした秋葉原のお店を紹介していました。そこの日本人の店主いわく「是非とも日本の皆様にこれを知っていただきたいと思い秋葉原に出店しました。秋葉原は発信力があるので、ここに出店すれば噂がすぐに広まると思っ…

世の中に「主張」というものは存在しません

議論や討論や報告会や発表会での風景。まずAさんの主張があります。その後にBさんの反論があります。そのBさんの反論に対してAさんの反論があり、後はAさんとBさんの反論合戦が延々と続きます。主張があって、その上で反論がある。おそらく多くの人が…

言葉の魔術師ルター

翻訳という作業には困難が伴う。原典に忠実に直訳すると分かりづらいものとなり、分かりやすさを優先して意訳すると原典がもつ意味からかけ離れてしまう。古今東西で様々な翻訳作業が行われ、翻訳の果たしてきた役割は測り知れない。直訳であれ意訳であれ、…

帰郷者にとっての準拠集団の変容

長旅から帰宅すると変な違和感を感じることがある。旅に出かける前には気づかなかった当たり前なことが気になったり、地元地域が以前とは異なった景色に見えたりする。ところが帰宅してしばらくするとその違和感が徐々に薄れ、以前と同じような日常に戻り、…