エッセイ

法社会学の出番無し

憲法改正なんてトンデモナイと考える人が結構多いみたいですね。簡単には変えられないことから日本国憲法を「硬性憲法」と言ったりします。しかし、ホントに硬性憲法なのでしょうか。第96条をご覧になってください。 第96条:この憲法の改正は、各議院の総議…

持続可能な寿司

その昔、開発が活発になったことで環境論者から激しい批判が起こりました。「環境を守るために開発をやめろ!」というやつです。でも「環境を守れ」と言うのは、開発を積極的に進めてきて環境がヤバいことになっていることに気づいた先進国側の人々なんです…

儀礼ではない無関心

街を歩いているとよく「見て見ぬ振り」に出会します。レストランや電車内といった公共的な場所でのいざこざ、よく見かけると思います。中には善玉と悪玉が明確になっているケースもあります。そんなとき、わたしたちはどうすべきなのでしょうか。 確かに何す…

儀礼的無関心

ゴフマンの「儀礼的無関心」についてはその訳語に問題あると考える研究者が多いです。「儀礼的無関心」ではなく「市民的無関心」とか「世間的無関心」という訳を提唱している方々もいるようですが、ちょっと皆さん勘違いなさっているのではないかというのが…

セレンディピティ

キオ・スタークという人類学者(かな?)の『知らない人に出会う』という本があります。ちょっと一部を抜粋しますね。 公共の場で見知らぬ人同士が一定の距離まで近づくと、2人は互いをちらりと見て、さらに近くまで来ると目をそらして相手をやり過ごす。この…

過大評価=過小評価

日本は「恥」の文化だと言われます。それゆえに「罪」の文化である西洋およびキリスト教を理解するのに苦しみます。そして「罪」それ自体に対する解釈もキリスト教とは異なるようです。日本人にとって恥とは他者であるところの「人間」に対して想定されるも…

自己決定権は権利か義務か

先日、最寄り駅の階段から転げ落ちた婆さんを救助したときのことですが、婆さんは頭から血をタラタラと流しながらも「大丈夫です大丈夫です」と訴えていました。周囲に人が大勢集まったからでしょうか、人様に迷惑を掛けてはいけないと感じたのでしょう。立…

表現の自由はどこまで許されるのでしょうか

千住博という芸術専門家が「芸術とは何かを考えることは、私たちの社会とは何かを考えること」と言ってます。いろんな芸術がある分、いろんな社会があるのかなと。人は頭の中でいろんなことを考えています。それを言葉にするか、絵で表現するか、彫刻で表現…

研究者の神話

アフリカの貧しい国の人々のためにわれわれに何ができるのでしょうか。アフリカに限らずアジアにも、そして日本にも貧しい人々が存在します。そこには必ず彼ら貧しい人々を搾取する人々がいます。彼らは儲けます。彼らは貧困の存在を享受するのです。そのよ…

お○○こ再考

The boy playing the guitar over there is my brother. 英文法を教える機会がありますが、「分詞」の章にくるとボクを悩ます文章があります。上記文章を訳すと「あそこでギターを弾いている少年はボクの弟です」となります。こんな文章をいったいどこで使う…

シンガポールの「文化」

シンガポールは父の仕事の手伝いで初めて行って以来何度か訪れたことがあるのですが、いまだによくわからない国です。岩崎育夫著『物語シンガポールの歴史』を読んで腑に落ちた点があるので幾つか。 シンガポールの歴史を見ていると、何か違和感を感じざるを…

君の膵臓をもらいたい

「術中覚醒」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 読んで字のごとく「手術中に意識が回復すること」です。全身麻酔していても時々起こるらしいです。麻酔によって意識はなくなりますが、麻酔が効かなければ意識が回復します。意識が回復するから「痛い…

異性間慣習と同性間慣習

先日、学生達に対して自由討論を採用しました。テーマを与えて30分間で自由に討論してもらうというもので、テーマにはLGBTが与えられました。学生らは「自由」にLGBTについて議論しました。それぞれがLGBTの権利をどう考えるかというものに収まりました。例…

eスポーツ

職業選択としてのeスポーツという話があるみたいです。実は最近、eスポーツにハマる人や、それを題材にレポートや卒業論文を書く学生が増えています。 そこで、①eスポーツはスポーツなのか、②なぜオリンピック種目になろうとするのか。 ①からいきましょう。e…

王子様

王子様といいAbcdeといい、キラキラネームをめぐる議論は賛否両論いろいろありますね。息子に「悪魔」と命名した「事件」はもう20年以上前になりますが、未だに記憶に残ってます。アメリカのサイトで調べたのですが、Abcdeという名前は1800年代にすでに5人存…

まもなくミサイルが参ります、白線の内側までお下がりください

ボクらの世代が高校生の頃に英単語を覚えるのに使用したのが『試験に出る英単語』という本でした。試験に出ない単語は覚えないで、試験に出る単語だけ覚えるのだという効率的な単語暗記法だった記憶があります。この本が出版されてから40年以上経つのかな。…

これでいいのか鉄道営業法

鉄道営業法というのがなかなかの曲者で、鉄道業界ではこれをどうとらえているのだろうかと、ずっと疑問に思ってました。最近ではすっかり当たり前になった女性専用車両にも関わる条文なのですが、まずは鉄道営業法の第三十四条をご覧になってください。 第三…

マックLGBT

世の中を見渡すと最近はLGBTがマイノリティ脱却を図っているかのような動きが盛んです。その昔アメリカ滞在中にお世話になった「マックBLT」というメニューが最近ようやく日本のマックでも登場したらしいです。BLTというのはベーコン・レタス・トマトの略。LGB…

力と技と美しさ

一昨年の国体(国民体育大会のこと)ですが、福井県で開催されたんですけど、そのスローガンが「織りなそう、力と技と美しさ」となっていました。国民的?な大会であるがゆえ「力と技」のみならず「美しさ」もまた要求されるのでしょうか。スポーツに感動を…

あなたの時間

歳を重ねるとよく「1年があっという間」とか言います。同じ時間なはずなのに、段々と1年が短く感じるようになりますよね。なんでなんでしょうね。『ゾウの時間ネズミの時間』という本がヒントを提示してくれるような気がします.....。 動物のサイズが異なる…

これでいいのか動物愛護

ある友人の愛犬が最近亡くなりました。ボクも愛猫アルちゃんを9年前に亡くし、いまだにペットロスというのを克服できないでいるので、彼の悲しみはよく分かるのです。ところが彼とのやり取りの中で、以前からずっと疑問に思っていることが再び蒸し返されてし…

故郷・異郷・帰郷

「故郷」であれ「出身地」であれ「地元」であれ、誰にでも自分が愛着を持っている土地というものがありますよね。それぞれにお国自慢のようなものがあるのだと思います。どこに何があるとか、誰が住んでいるとか、そういう客観的な風景とは別に、人それぞれ…

異文化感覚

アメリカのジョークです。ある中年男性が、とてもキュートでセクシーな女性と知り合いになった。男性は女性を誘って宿泊するホテルの部屋へと向かった。途中、男性は「ところで、君、歳はいくつ?」と尋ねた。女性は「13よ」と答えた。男性は、それを聞くと…

武士道は日本文化か

海外に行くと必ず日本と異なる点ばかりが見えてきますよね。カルチャーショックを体験するわけですが、カルチャーショックの原因は自分の常識とは「違う」ことに対する違和感です。でも、ある一定のラインを越えると、今度は逆に、日本と似ている点が目に付…

地域振興と総合型地域スポーツクラブ

最近、スポーツを介して地域社会を活性化させようという政策が唱えられているのをご存じでしょうか。スポーツ庁が主導するスポーツツーリズムなんかがそうですが、スポーツを介して観光客を呼び込もうという政策ですね。そんな中で文科省が提唱している「総…

非正規雇用は文化だ

最近気になったニュースがあります。それについて以下で書かせていただきます。 格差社会と言われて久しいですが、数年前からメディアなどで頻繁に取り上げられるのが正規雇用と非正規雇用の格差問題です。女性の労働参加の難しさが特に指摘されてます。その…